大量生産・大量販売の時代は終わり、そうした経済環境で企業が業績を上げるためには、消費者の声を反映した独自性のある製品やサービスを提供することが必要になってきました。更にインターネットやSNSの普及に伴い、個々の消費者の口コミ効果の高さに注目が集まっています。
また、消費者契約法や特定商取引法などの消費者保護の法律も整備され、消費者の権利意識は高まっています。
こうした社会的背景の中で「ものを言う消費者」の存在が大きくなっています。企業の製品・サービスのファンになった消費者は、積極的に口コミに関わって売上に好循環をもたらします。
一方で製品・サービスに不満を抱いた消費者は、お客様相談窓口(カスタマーサポート)に苦情の電話を入れたり、SNSで厳しい評価を投稿したりします。これを放置すると企業の業務が停滞したり売上不振の原因になったりします。
そうした苦情の電話があった際に、相談対応者が素晴らしい応答をして、その苦情を入れた消費者の心を動かすことができれば、一転してその消費者は会社のファンになることもあるでしょう。顧客相談業務に携わる人にとっては、地道な努力で会社のファンを創り出していくのが使命ともいえるでしょう。
しかし、現実には企業として誠実な対応をしたにもかかわらず、執拗な苦情を止めない相談者が存在することも確かです。これがいわゆるクレーマーと呼ばれる人達です。
悪質なクレーマーの不当要求を放置すると、相談対応者が精神的疲弊をするだけではなく、企業の業務が大きく停滞してしまいます。
現在のクレーマーは大多数が一般人であり、反社会的勢力からの不当要求は割合としてそれほど多いものではありません。(反社会的勢力からの不当要求については、即時に法的対応で臨むのが基本となります。)
失業や職場でのストレス、定年退職後の喪失感、精神的疾病など、社会に対する疎外感や不平不満の捌け口として、企業への苦情申し出という形で自己実現をしようという動機が多く見受けられます。こうしたクレーマーは合理的説明を尽くしても納得をすることは無く、対応時間が長くなれば企業の業務に支障が生じることも珍しくありません。
そこで、相談業務の現場としては、適切に苦情の聴き取りを行い、企業として採り入れなければならない意見には真摯に耳を傾け、執拗なクレーマーと判断した相談に関しては相談を打ち切って法的対応をするという対処が求められます。
そのような毅然とした対応をするには、顧客相談のルールを定め、どのような行為をクレーマーと認定するかの基準を明確にしなくてはなりません。相談者の聴き取り内容を記録し保管する体制についても定めておく必要があります。
SNSの普及などWEB環境の変化についても対応が求められます。
そうした相談業務のガイドラインを作成し、組織内の運用を通して改善を続けていく努力が必要です。
当サイト運営者の行政書士・遠山桂は、IT事業の契約書作成、ネット通販事業のコンサルティング、消費者教育の講演などで豊富な実績があります。
次のような業務については、リンク先のページをご参照下さい。
SNSの炎上を予防するための社員に周知するガイドライン作成・雛形
お客様相談窓口のクレーマー対策や消費者契約についての出前講座・研修・セミナー開催